月が綺麗ですね

声優沼に突き落とされた舞台系ジャニオタの末路。

23階の思い出~『23階の笑い』感想

 

 ふぉ~ゆ~主演舞台『23階の笑い』、12月4日と12月10日のそれぞれ夜公演を観ました。感想を書き残しておきます。例によってネタバレ満載で主観的な駄文です。また、台詞はニュアンス覚え書きです。ご理解お願いいたします。

 

 感想を一言で言うと、とにかく面白かったです!!!なかなか23階ロスから抜け出せなくて困りました。23階のマックスの部屋に戻りたい、クレイジーな放送作家たちにまた会いたい、って今も思ってます。

 1950年代のアメリカが舞台で、ニール・サイモンの実体験を元にした、人気バラエティ番組の裏側を描く『23階の笑い』。理解するのはきっと難しいだろうと予想していて、実際によく分からない箇所もあったんですが、それ以上に観劇後の「あ~面白かった~」感が勝っていました。これって凄いことですよね、きっと。

 台詞の勢いとか半端ない小ネタの量とか、三作品しか観たことがないわたしが言うのは失礼かもしれませんが、錦織演出の極みだなあと思いました。怒濤の台詞で分かりづらい小ネタの嵐だけども、笑うべきポイントがちゃんと分かるから、乗り遅れない。たとえ難しい台本でも観客のことを置いてけぼりになんてしないから、錦織さんの演出が好きです。

 

 凝っていてレトロアメリカンでお洒落な一室を再現した舞台美術も、客入れ時のBGMも雰囲気たっぷりで、ホールに入った瞬間からわくわくです。ブザーが鳴る代わりにMEが変わるのですが、ここのMEがすごく手拍子したくなる曲でウズウズしてしまいました(笑)

 辰巳くんが部屋に入ってくるところから始まるこの舞台。バラエティ番組の話から1950年代の日米のテレビ業界の話になり、物語中のルーカスになって状況説明、という流れなのですが、ここの説明台詞がとても錦織さんっぽくて好きです。

 ルーカスは説明台詞が多い狂言回し的な役割で、マックスや先輩作家たちに振り回されて、子犬みたいでかわいかったです。一幕ではおどおどしていましたが、二幕で正式採用されてどや顔しているルーカス、可愛くってきゅんとしました。辰巳くんはストーリーテラーが似合うとつくづく思いました。4日の公演のときに冒頭の台詞で噛んじゃって誤魔化そうとする姿が可愛かったなあ…

 新入り放送作家のルーカスが待つ部屋に最初にやってくるのは、越岡さん演じるミルト。ミルト登場時のテンションが最高です。「ドアトゥドアで家から57丁目まで2分30秒だ」みたいなTHEアメリカンコメディな台詞で、一気に世界観に引き込まれます。このミルト、なかなかに軽薄で女誑しな男なんですけど、越岡さんの甘い声で「Heyベイビー」「じゃあねハニー」とか電話口で言ってるところ観ると許しちゃいますよね…!二幕の最初、パナマ帽に白スーツで登場した姿がとても目の保養でした。最高です。離婚したことを落ち込んでないのかとルーカスに問われて、「ここで?俺たちは笑いを作ってるんだ」と返すミルト、素敵でした。

 次に来るのが福ちゃん演じるチーフ作家のヴァル。ロシアンコートにシャツ、ネクタイ、ベスト、スラックスという素敵な出で立ち。立っているだけで様になります。東北訛りだけど。ヴァルは松崎さん演じるマックスに従順で、ボケに回ることも多いし、なんとなく癒やし系でわりと可愛い役柄。でもビジュアルが圧倒的にカッコいいからずるいです。バカンスバカンスのくだりの顔芸がとっても好きです。

 その後、じろうさん演じるブライアン、長谷川さん演じるケニー、蒼乃さん演じるキャロルが登場します。スモーカーでドランカーなイケメンアイリッシュ・ブライアンがめちゃくちゃタイプです。ブライアンがぼそっと呟く台詞や特徴的な笑い声に何度もにやにやしました。立花さん演じるヘレンは、終わりを見据えている作家たちの中で、ひとり無邪気に夢を語っているところが印象的でした。主演はふぉ〜ゆ〜ですけども、4人以外の役者さんたちもすごく素敵で大好きでした!

   そして、なだぎ武さん演じる、いつも仕事に遅刻してやってくる心気症のアイラ。アイラは本当にずるいですよね〜!まず登場シーンからして、"笑ってはいけないなだぎ武ワンマンショー"なのがずるいですよね〜!もうずっとやりたい放題ですもんね~!めっちゃ笑いました。4日の公演では越岡ミルトが標的にされて、素で「うるさい!!!」って言ってて可愛かったです…キレ芸を引き出してくれてありがとう、なだぎアイラ…!

 最後に部屋にやってくるのは、松崎さん演じる天才コメディアンのマックス。マックスは狂気と不安定さをコメディで包んで平然とした顔をしている役で、すごく凄かったです(語彙力)「チョメチョメ!」って入ってきてニヤニヤしてズボン脱いでひたすら怒鳴ってるんですよ、マックス。かと思えば不安を爆発させたり、疲弊しているのにルーカスに優しく話しかけてみたり、精神分裂っぷりが凄かったです。あんなにも圧倒する演技が出来るのにカーテンコールでおバカ全開になる松崎さんってなんなんでしょうね、ギャップの極み…!

 

 一幕最後の方のアイラとブライアンの大喜利対決にふぉ~ゆ~メンバーが巻き込まれるの、4日に観たときは驚きました。開幕4日でアドリブ満載にできる信頼感、とても良いカンパニーなんだなあと感じました。2度観劇して、すり~ゆ~の大喜利が観られたので嬉しかったです。テーマ『売れないアイドルグループの名前』でヴァルが「ふぉ~ゆ~」って言い逃げしたのも観られましたし、ヴァルとルーカスが路線名でヒートアップするのも観られたので大満足です、ありがとうございます。

 一幕の最後、ルーカスが「この人たちと一緒にずっと仕事がしたいならクレイジーにならなきゃいけない」みたいなことを言うんですが、そこで初めてこの場がクレイジーだと気づくくらい、ごく自然にクレイジーな23階の一室。世相からくる規制と予算縮小からだんだん番組の存続が危うくなって、最終的にこの場所がなくなってしまうと告げられるのが二幕でした。

 二幕も相変わらずのクレイジーっぷりに変わりはないのですが、考えさせられる場面が多く、少ししんどかったです。シーザーのコントに乗せて語られるマックスの心情。アイラの「愛してると言ってくれ」という台詞。苦しみ葛藤しながらも「愛してる。愛してる!愛してる!!!」と返すマックス。クリスマスパーティの場面で、誰もがマックスプリンスショーの置かれている厳しい立場に気づいていながら誰も口に出さない、そんな空気の中でマックスが打ち明けるシーン。それを受けてマックスのことを話す作家たち。グッときました。正直、ストーリーの理解は難しかったですが、それでもガツンと伝わってくる感情の重さ。まさしくザッツエンターテインメントでした。

 また、ミュージカルシーンや最後の歌のプレゼントで、少しではありますが歌って踊るふぉ~ゆ~が観られて本当に嬉しかったです。正装大好き人間なので、衣装がとっても好みだったところも最高でした。蝶ネクタイの黒スーツは正義…!

 カーテンコールでは、仲良しよんこいち+なだぎさん長谷川さんのナイスツッコミという素敵な構図がたくさん見られてほっこりしました。なお、個人的なベストツッコミは、10日夜公演でなだぎさんが松崎さんに発した「お前、舞台に立っていいライセンス持ってんの?」です、ありがとうございます。ぜひ、またふぉ~ゆ~と共演していただきたいなあ。

 

 『23階の笑い』は自分にとっても初めての翻訳物でしたが、本当に面白くて楽しめる作品でした。たくさんの舞台に触れた一年の終わりに、『23階の笑い』を観劇できたことに感謝です。脚本も演出も出演者の皆さまも大好きでした。まとまりのない感想になってしまい、なんだか申し訳ないです。

 そして、次にふぉ~ゆ~が立つ舞台も素敵なものになりますように!