月が綺麗ですね

声優沼に突き落とされた舞台系ジャニオタの末路。

『鱗人輪舞』という舞台~①'16/10/18(7公演目)

 

 ダンスカンパニーDAZZLEさんの20周年記念公演、『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』の7公演目を観劇しました。以下、ネタバレ満載、深読み妄想たっぷりの自己本位な感想です。閲覧の際はご注意ください。

 

 

 観劇後、「とんでもない舞台を観てしまった…」真っ先に、そう思いました。ぴあさんの特典で良い席(なんと最前センターブロックでした…!)がお手頃価格で手に入るということで、気軽に観に行った自分を軽く後悔するほどに、心を打たれてしまいました。

 息遣い微かな音、表情、匂い、したたり落ちる汗まで感じられて、本当にどうしようもなかったです。皆さんお美しかった。描く軌道が見えるようなダンスでした。どうしてそんな風に動けるんだろう、この演出は、振り付けは、一体どんな脳内で生み出されているのだろう…と息をのむばかりで。

 確かに今この劇場で上演されている舞台なのに、ダンスで演劇で、絵本で小説で、アニメで映画でRPGで、みたいな不思議な感覚に陥りながら、ひとつも漏らさないように必死で観ていました。

 

 海が消え水が涸れ、土地も人の心も荒んだ世界で、孤独に生きる青年・ロンドと千年を生きた人魚・リンドが出会い、動き出す物語。一幕の終わりに観客が投票をして、ひとつの結末を迎えるマルチエンディングの舞台です。ここがずるいんですよ。世界観を崩さず、むしろ観客を世界に取り込んでしまうような演出で。そうきたか!!!って、殴られたみたいな衝撃。結末を迎えた後、心苦しくなってしまうほどでした。

 

 好きな場面はたくさんありますが、まずはリンドとロンドが出会う場面。月光に照らされて舞うリンドがあまりに綺麗で美しくて、最初から半泣きです。最前だったからか、月光に浮かぶリンドのシルエットに、滴り落ちる汗だか水滴だかも見て取れて…!美しい綺麗尊いの三拍子でした。

 思わず口元が緩んでしまったのは、人魚とリンドのシーン。花を摘みにゆくリンドの可愛さったらないです。箱を組み合わせ組み替えて山を表現し、それが寸分たりとも狂わない音合わせで進んでいくんですよ。天才、としか。そして、人魚から好意を伝えられて嬉しさのあまり思わず項垂れるリンドの可愛さったらないです(2回目)。その後、人魚は酷な最期を迎えるんですが、人魚の亡骸にキスをするリンドがまた美しくて泣けます。

 ロンドの過去の回想はしんどかったです。素直で幼かった少年が、だまされ傷つき、ずる賢い生き方だけを覚えて、十分に愛されることなく子どものまま大人になってしまった。もっとも、だからこそリンドの愛に気づいたときに、ロンドは心打たれたんだと思うんですけど…

 富豪とロンドの再会も良かったです。最初、別々の空間が展開されてると思ったほど、対比が素晴らしくて。元は使用人と坊ちゃん、今は富豪と砂族。パンフレットを見て気づいたんですが、ここのMEのタイトルが『豪遊&拷問』なんです。天才的…!あとは、富豪が吸っている煙草の香りがふわっとしてきて、クラクラしました。性癖ドストライクでしたありがとうございます。

   電話や食器を使ったダンスのコミカルなシーン、力強いストリート寄りのダンスで表現されるデモのシーンも好きです。美しいとカッコいいのバランスが絶妙でした。

 

 ちなみにこの公演の結末は、Rエンド。リンドの愛に気づき、一週間の猶予を使ってお金を稼ぎ、懐中時計を返したかったのだと捲し立てるロンドを、スクリーンに投影される文字で表現されていて、本当に天才的でした。リンドはロンドに何を伝えようとしていたのかは謎のままですが、質屋でロンドを目撃したリンドの仕草にきゅんとしたので、結果オーライです。

   一緒に逃げよう、と言ったロンドのことを、結果的にリンドは裏切ることになるんですよね。ふたりで逃亡中のロンドは年相応にキラキラしているように見えて、グッときました。しかもここのMEのタイトル、『駆け落ち』なんですよ…!だからこそ、最終列車が行ってしまった後、降り出した雨にリンドの選択を悟ったのだろうロンドが、つらすぎました。

 本当は、リンドはもう死んでしまいたかったのだと思います。リンドにとっての、愛した人に生かされて意味のある死を探し続けた千年と、ロンドと出会ってからの少しの時間のことを考えると、言葉が出ません。

 最後の最後、人魚は見ることが叶わなかった景色を、寂しがるロンドに見せるなんて、リンドはずるいなあと思いました。鮮やかな花畑でひとり泣き叫ぶロンド、観ているのはしんどいのに、目が離せませんでした。

 

 分からなかったのは、どうしてそこまでリンドはロンドに執着するのかということ。懐中時計を返してもらった後は、目の前に現れる理由なんてないはずなのに…と疑問に思いました。「あの花(DAZZLE)が似合うと思ったからさ」とか言いそうですよね。リンドはきっとロマンチストですから。

   あと疑問があるとすれば、2人の関係に名前をつけるとしたらなんなのだろう、ということです。友達ではないし家族とも恋人とも言えない、共犯者、でしょうか。

 

   疑問と期待を抱きつつ、ただいま2回目の観劇へ向かっています。まだ観ぬLエンドに出逢いたいものです。